入札参加は目的ではない
最も避けたいのは、「なんとなく」公共工事に参入すること
公共工事への参入を考える際、最も重要なのは、経営事項審査の手続を始めることではありません。
まず考えるべきなのは、
「なぜ公共工事に参入するのか」
ということです。
「公共工事は安定していそうだから」
「入札に参加すれば仕事が取れるのではないか」
「周りの会社も公共工事をやっているから」
このような理由だけで、明確な経営方針を持たないまま参入することはおすすめできません。
公共工事は、経営事項審査を受け、入札参加資格を取得すれば、必ず受注できるものではありません。
どの工事を受注したいのか。
どの地域で仕事をしたいのか。
年間どの程度の売上を公共工事から確保したいのか。
その売上からどの程度の利益を確保したいのか。
どのランクを目指すのか。
そのために、どのような技術者や組織体制が必要なのか。
こうしたことを具体的に考えておかなければ、入札に参加すること自体が目的になってしまいます。
「入札すること」が目的になってはいけない
公共工事への参入を決めたものの、思うように受注できない。
受注できても、事務負担や人件費、安全管理などを考えると、期待したほど利益が残らない。
その結果、「そもそも何のために入札をしているのだろう」となってしまう。
こうした状況を避けるためにも、参入前に公共工事を会社の経営の中でどのように位置付けるのかを明確にしておく必要があります。
例えば、公共工事を全体売上の20%程度にして民間工事と組み合わせるのか、将来的には50%程度まで高めて公共工事を会社の柱にするのか。
目標によって必要となる人員、技術者、財務体質、受注実績は変わってきます。
だからこそ、最初に「会社の未来を考える」
公共工事への参入は、単に受注先を増やすための手続ではありません。
会社の売上構成を変え、人材育成を促し、技術力を高め、地域との関係を深める可能性があります。
一方で、事務負担や技術者の確保、安全・品質管理など、新たな負担も生じます。
だからこそ、
「公共工事に参入できるか」よりも、「公共工事に参入することが自社の将来にとって本当に必要なのか」
を先に考えることが大切です。
この方向性が固まって初めて、現在の自社の経営状況や技術者体制を確認し、目標とするランクに届くのかをシミュレーションする意味が生まれます。
そして、不足している財務、人材、実績、組織体制を一つずつ整えた上で、経営事項審査や入札参加資格の手続へ進んでいく。
私は、この順番が公共工事への参入を継続的な経営につなげるための土台になると考えています。