公共工事は会社をどのように変えるのか?
公共工事は会社をどのように変えるのか?
事業承継を機に、「公共工事にも参入してみたい」と考える会社は少なくありません。
しかし、公共工事への参入は、単に仕事の受注先が一つ増えるという話ではありません。
会社の経営方針、人材育成、組織体制、財務、信用力など、会社全体に大きな影響を与える経営判断です。
そのため、「経営事項審査を受ければ公共工事ができる」という考え方ではなく、「公共工事へ参入することで会社はどのように変わるのか」を十分に理解した上で判断することが重要だと考えています。
公共工事が会社にもたらすもの
公共工事へ参入すると、会社には様々な変化が生まれます。
まず考えられるのは、経営の安定です。
民間工事だけに依存している場合、景気や取引先の動向によって受注量が大きく左右されることがあります。
一方で、公共工事を適度に取り入れることで、民間工事の閑散期を補い、売上を平準化できる可能性があります。
また、公共工事を継続的に受注していることは、一定の技術力や経営体制が評価されていることの一つの証にもなります。
金融機関、取引先、求職者などからの信用力向上につながることも少なくありません。
さらに、道路、河川、学校、公園など地域の社会基盤を支える工事に携わることは、地域社会への貢献にもつながります。
自治体との継続的な信頼関係が築かれ、会社の社会的な存在価値を高めるきっかけにもなるでしょう。
公共工事は会社の体質を変える
公共工事への参入は、会社の内部にも変化をもたらします。
経営事項審査では、技術者、財務、安全管理、社会保険加入状況など、会社全体が評価対象となります。
そのため、
・技術者の資格取得を奨励する。
・若手技術者を計画的に育成する。
・財務内容を改善する。
・法令遵守や安全管理を徹底する。
といった取組が、自然と会社全体の体質改善につながっていきます。
経審の点数を上げることが目的ではありません。
より良い建設会社をつくろうと努力した結果として、その成果が経審の評点にも反映されるという考え方が大切ではないでしょうか。
一方で負担も増えます
もちろん、公共工事には良い面だけがあるわけではありません。
入札参加資格の維持、経営事項審査、契約手続、完成書類など、事務負担は民間工事よりも増える傾向があります。
また、主任技術者や監理技術者などの配置体制、安全管理、品質管理についても、より高い水準が求められます。
税金や社会保険の管理など、法令遵守についても継続的な対応が必要になります。
つまり、公共工事への参入とは、会社全体の管理水準を一段引き上げることでもあります。
本当に公共工事は必要でしょうか?
公共工事への参入は、すべての建設会社にとって正解とは限りません。
民間工事を中心に高い利益率と安定した受注を維持できる会社であれば、その経営方針を大切にすることも一つの選択です。
一方で、
・売上をより安定させたい。
・地域とのつながりを深めたい。
・技術者を育成したい。
・会社の信用力をさらに高めたい。
そのような将来像を描いているのであれば、公共工事への参入は有力な選択肢となるでしょう。
重要なのは、「公共工事に参入すること」を目的にすることではありません。
会社が10年後、20年後にどのような姿になっていたいのか。
公共工事を会社全体の売上の中でどの程度の割合に位置付けたいのか。
地域社会の中でどのような役割を果たしていきたいのか。
こうした将来像を具体的に描いた上で、経営事項審査や入札制度を活用することが、長く信頼される建設会社への第一歩になると考えています。