営業所技術者の要件を深堀
営業所技術者に実務経験、資格が求められる理由
営業所技術者には、一定の国家資格または実務経験が求められています。
一見すると、
「なぜ10年もの実務経験が必要なのか。」
あるいは、
「資格があれば実務経験は不要になるのか。」
と疑問に思われるかもしれません。
しかし、この制度は単に資格の有無を見ているものではなく、技術力そのものをどのように担保するかという考え方に基づいて設けられていると考えられます。
実務経験の位置づけ
建設業は、実際の現場で経験を積み重ねることによって身につく技術が非常に多い業種です。
例えば、
・現場ごとの施工方法
・工程管理
・安全管理
・品質管理
・協力会社との調整
・想定外のトラブルへの対応
こうした判断力は、机上の勉強だけでは身につきません。
だからこそ、営業所技術者には長年の実務経験が求められているのです。
言い換えれば、
実務経験は、技術力の土台となるもの
と考えることができます。
国家資格の位置づけ
一方で、建設業には数多くの国家資格があります。
これらの資格は、単なる知識試験ではありません。
多くの資格では一定の実務経験が受験要件や登録要件となっており、現場で培った経験を前提に、
・法令
・安全管理
・品質管理
・構造
・施工管理
などを体系的に学び、その知識と技術力を客観的に証明する制度となっています。
つまり、
資格は経験を理論的・客観的に裏付けるもの
と考えることができます。
そのため、現場経験と資格の双方を備えた技術者は、より精度の高い技術的判断を行うことが期待されます。
常勤役員との違い
営業所技術者と常勤役員には、共通点もあれば大きな違いもあります。
どちらも建設業許可の重要な要件ですが、評価している能力が異なります。
営業所技術者は、
「技術力」を備えているか
が問われます。
そのため、実務経験に加え、国家資格という客観的な証明制度が設けられています。
一方、常勤役員には、そのような国家資格制度はありません。
これは、建設業の経営には、
・資金繰り
・金融機関との折衝
・人員管理
・契約
・取引先との信頼関係
・経営判断
など、実際に責任を負いながら積み重ねる経験が不可欠であり、特定の資格だけで代替できるものではないと考えられているためです。
そのため経営業務管理責任者では、原則として5年以上の経営経験が重視されています。
建設業許可制度が評価するもの
建設業許可制度は、
単に資格や経験の年数を形式的に確認している制度ではありません。
制度全体を見ると、
・経営面では、責任を伴う経験
・技術面では、経験に裏付けられた知識と技術力
という二つの能力を求めています。
建設工事は、多額の資金が動き、人命や社会インフラにも大きな影響を与える仕事です。
そのため、建設業許可制度では、経営面と技術面の双方について一定の能力を備えた会社だけが許可を受けられる仕組みとなっています。