承継を機に公共工事入札に新規参入する場合
承継を機に公共工事へ参入する選択
事業承継は、会社をそのまま引き継ぐだけではありません。
後継者が新たな経営方針を掲げ、これまで民間工事を中心としていた会社が公共工事へ参入するケースも少なくありません。
しかし、「公共工事をやってみたい」という漠然とした考えだけで経営事項審査(経審)を受けても、継続的な受注につながらないことがあります。
公共工事への参入は、経営事項審査を受けることが目的ではありません。
自社がどのような建設会社を目指すのか。その将来像を明確にした上で、経審や入札制度を活用していくことが大切です。
なぜ公共工事へ参入したいのか?
まず考えたいのは、「なぜ公共工事へ参入したいのか」という点です。
例えば、
・民間工事だけでは売上が安定しないため。
・地域の公共工事にも積極的に携わりたい。
・後継者の代から事業を拡大したい。
・会社の信用力を高めたい。
会社によって理由は様々です。
この目的が曖昧なままでは、参入後の方向性も定まりにくくなります。
民間工事と公共工事の違いを理解する
公共工事は、民間工事とは仕事の受注方法や求められる体制が大きく異なります。
経営事項審査による評価、入札制度、技術者の配置、書類管理など、会社全体として一定の管理体制が求められます。
つまり、公共工事は会社全体の総合力が評価される市場であると言えます。
どこで、どのような業種の工事で参入するのか
「公共工事に参入したい」というだけでは、経営戦略としては十分ではありません。
例えば、
・土木工事を中心とするのか
・建築工事を目指すのか
・舗装工事や管工事を主力とするのか
また、
・市町村を中心とするのか
・都道府県の工事も受注したいのか
など、自社が目指す市場を具体的に整理することが重要です。
目標となるランクを考える
どの規模の工事を受注したいのかによって、目標とするランクや必要となる評点も変わってきます。
無理に高いランクを目指すのではなく、自社の規模や技術力、財務状況に見合った現実的な目標を設定することが、継続的な受注につながります。
現状のシミュレーション
方向性が決まったら、現在の会社の状況を分析します。
例えば、
・技術者は十分に確保できているか。
・財務体質は公共工事に対応できる状態か。
・資格取得や人材育成は必要か。
・完成工事高は目標に見合っているか。
こうした現状を把握することで、経営事項審査を受けた場合のおおよその評点や、今後改善すべき課題も見えてきます。
経審は会社づくりの道しるべ
経営事項審査は、単に点数を取得するための制度ではありません。
会社の技術力、財務、安全管理、社会性などを総合的に評価する制度です。
そのため、「点数を上げること」を目的にするのではなく、「より良い建設会社をつくること」を目的に経審を活用することが大切だと考えています。
技術者を育成する。
財務体質を改善する。
資格取得を進める。
会社の体制を整える。
こうした日々の積み重ねが、結果として経審の評点にも反映され、公共工事を安心して任せてもらえる会社づくりにつながります。
承継は会社の未来を考える機会
事業承継は、代表者が交代するだけの手続ではありません。
「これからどのような会社を目指すのか。」
その将来像を改めて考える絶好の機会でもあります。
公共工事への参入を検討する際には、まず会社の未来を描き、その実現のための手段として経営事項審査や入札制度を活用していくことが、長く地域に信頼される建設会社への第一歩になると考えています。